訃報から1週間

ちょうど先週の金曜日のこと。

午後の診察が始まり、程なくして父から一本の電話が。

普段はLINEでメッセージを送ってくれる父。

緊急事態でない限り電話機能は滅多に使いません。

ましてや診療時間中に電話をかけてくるなんて…余程の事なんだと理解しました。

 

開口一番『よしえ、おばあちゃん死んじゃったよ』と

祖母の訃報を知らせる電話でした。

父の声は動揺を隠しきれないのか少し震えていました。

 

享年97歳。来月がお誕生日でした。

週2回のヘルパーさんとデイサービスを利用しつつ、畑で野菜を作ったり、毎食ではないものの自炊をしていました。

 施設に入所するのはイヤだと、自由でいたいと最後まで独居を貫きました。

 

亡くなる前日は母と外出し、お昼は近所のおうどん屋さんで温かいおうどんと大好きな海老とキスの天ぷらを食べて、夜はクリームシチューを作って食べていました。

 

いつものように寝巻に着替えて母と電話した後22時頃眠りにつきました。

 

翌日は15時からヘルパーさんがお掃除に来てくれる予定でしたが、『インターホンを鳴らしても応答がない』との連絡を受け、ちょうど近くまで来ていた父と母がお家へ向かいました。

 

 鍵を開けヘルパーさんと3人でお部屋を見て回ったところ、寝室のベッドの中で冷たくなっている祖母を発見したそうです。

 

苦しんだような形跡も全くなく、お肌もツヤツヤで、お祈りをする時のように胸の上で手を組んで静かに横たわっているその姿は、頬に触れてみるまで亡くなっていると気付かないほど、とても穏やかな寝顔だったと。

 

かかりつけの医院に連絡をして最期の往診、死亡確認をしていただいた先生にも『本当に素晴らしい大往生だったね』と。

 

月曜日にお通夜、火曜日に告別式と日取りが決まり、土日の2日間で忙しなく葬儀の準備が進められていく中でも、とても穏やかに目を閉じている祖母の寝顔のおかげで集まった親族一同皆心穏やかに、幸福感に包まれながら最期のお別れをする事が出来ました。

 

仕事柄、多くの最期を看取ってきましたが、こんなにも穏やかで美しい最期を私は今まで経験した事がありません。

 

 

そんなこんなでバタバタと動いた週末でしたが、あの訃報から1週間、まるで何事も無かったかのような日常が戻ってきました。

 

今朝は綺麗に色づき始めた梅の花に目が止まりました。

もうすぐ春の訪れですね。

 

 

 

 

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